片麻痺後遺症の痙性を改善させる3つのポイント

片麻痺の方にとって麻痺した手足がつっぱるといった痙性症状に悩まされている方は多いと思います。
脳卒中による麻痺の発症当初は、そうでもなかったつっぱり感や痛み、しびれ、肘が曲がったまま伸びなくなったり、足が棒のように伸びてつっぱった痙性状態が年々ひどくなってきている。
そんな症状に悩まされている方は、一度今までの生活を見直してみませんか?
これをするだけで痙性によるツッパリ感や痛み、シビレの軽減につながります。
痙性症状で悩まれている方は是非ご自分の生活の中で参考にしてもらえればと思います。
目次
痙性とは何か?
脳や脊髄の障害により、麻痺しているのに自分の意志とは関係なく起こる筋肉の収縮によって体に異常な筋緊張が起こります。
そのため手足がつっぱり、思うように関節を曲げたり伸ばしたり動かせないなどの運動障害になる症状を痙性といいます。
よく脳卒中などの後遺症で片麻痺の方を見かけると、肘が曲がり、足が棒のように伸びた状態で麻痺した足を体の外側に廻しながら歩かれている方をみますよね。
上図のような姿勢の状態をウェルニッケマン肢位といい、歩き方をぶん廻し歩行といいます。
これは、痙性が高まっているために起きているのです。
痙性が高まるにつれて、関節拘縮、筋肉の短縮、痛み、しびれなどの原因につながります。
なぜ痙性は起こるのか?
人間は、筋肉を動かそうとする際には動かすだけでなく余計な動きをさせないように指令する抑制物質が脊髄で働きスムーズな動きができるようになっています。
ではなぜ痙性は起きてしまうのか?
- 脳の損傷による誤作動、または命令系統の機能不全
- 麻痺した半身から正確な感覚情報が脳に伝わらないため筋肉や関節にきちんとした命令が出せない。
そのために、片麻痺の方は動く際にスムーズに動かすために働くバランス調整機能が損なわれて、わずかな刺激でも筋肉に異常な力が入り筋肉が過度に緊張したり、余計な筋肉が緊張したりすることで痙性が起きます。
痙性を改善させる3つのポイント
当院が考える痙性を改善するするために必要な3つのポイントとは何か?
- 日常生活において、必要以上に体を動かしたりして酷使しない。
- パワーリハビリなどの筋トレ系はなるべく避ける。
- 少しでも麻痺側を使える環境にしていく。
以上の点を意識して生活してみて下さい。
では、各ポイントについて解説していきたいと思います。
日常生活において必要以上に体を動かしたりして酷使しない。
片麻痺の方は、普通の日常生活を送っているだけでも体全体に大きな負担がかかっています。
理由は、麻痺側を使って生活しているようにみえても実際は、ほぼ麻痺した側は使えていないために健康な側だけで生活しているからです。
健康体の方は、左右の半身を上手に使いながら体全体にストレスや疲労を溜めないように使っています。
例えば、長時間立ちっぱなしの時、右足に体重を乗せ休めの姿勢をとったとします。 でも疲れてくると今度は左足に体重をかけた姿勢を取ったりしますよね?
本来はこのように人間は必要以上に体に負担がかからないように左右でバランスを取りながら生活しています。
しかし、片麻痺の方は麻痺側に荷重をかけにくいため、健康な側ばかりを使って生活しています。
起きている時はもちろんの事、寝ている間も麻痺側をかばいながらの生活になっています。
そのため、お仕事やどうしても何かをしなければならない時以外は、体を休めることがとても大事になります。
健康な側の負担を減らすことは、痙性を高めてしまう連合反応や反射などを必要以上に抑え、麻痺側の筋緊張も減らすことにつながるからです。
あまり長期間、体を休ませることに不安があるようでしたら、まずは試しに3,4日何もしないでゆっくり体を休めてみて下さい。
何か違いを感じれるかもしれませんよ(笑)
パワーリハビリなどの筋トレ系はなるべく避ける。
よく「リハビリで筋肉を鍛えないと動けなくなってしまうよ。」と片麻痺の方は言われたことがあると思います。
寝たきりなどの重度の片麻痺の方は、動かさないことで筋力、体力の低下は著しいはずです。
しかし、ある程度動けて日常生活を送れる方は、動く量を減らした分の筋力、体力の低下は考えられますが、動けなくなってしまうという事は考えにくいです。
そのため、上記の「日常生活において必要以上に体を動かしたりして酷使しない。」という項目でも述べたことを基準に考えた際、パワーリハビリや筋トレは、得策であるとは思えません。
なぜなら、麻痺した筋肉が使えているわけではないからです。
なので、
麻痺を改善させたい・・・
もっと動けるようになりたい・・・
と思って頑張っていても必要以上に体を動かしたりしていることになり、最初の頃は筋力が上がったため動作が良くなったように感じますが、パワーリハビリや筋トレを続けていると次第に体がつっぱってきたなど痙性を高める原因になると考えているからです。
少しでも麻痺側を使える環境にしていく。
まずは麻痺した側を使える環境にしていくために、ご自身ではどうにも出来ない施術の必要性についてお話ししたいと思います。
施術などで筋緊張を取り除いて、少しでも麻痺側を使える環境にしてもらうという事です。
スポーツ選手のインタビューなどでよく聞くフレーズで、「緊張で体がガチガチになってしまい、いい動きが出来ませんでした。」と聞いたことありませんか?
そうです。
人は精神的緊張状態では筋肉がこわばり、いい動きが出来なくなります。
それと同じように片麻痺の方たちも、精神的緊張からだけではないにしろ、痙性が高まると筋緊張が強く出ます。
そのため緊張した筋肉が、より麻痺した体を動かしずらくさせていることが想像できると思います。
まずは、治療家などに施術で筋肉の緊張を減らして脳と筋肉との命令系統を良くするようにし、麻痺側を使える環境を整えることが、本当の意味での痙性の改善につながるということになります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は痙性を改善させるための3つのポイントをあげてみました。
- 日常生活において、必要以上に体を動かしたりして酷使しない。
- パワーリハビリなどの筋トレ系はなるべく避ける。
- 少しでも麻痺側を使える環境にしていく。
皆様がまず手始めに取り組めるのが、「日常生活において、必要以上に体を動かしたりして酷使しない」ことだと思います。
特に今現在リハビリに通われていて、筋トレやパワーリハビリを中心に取り組まれている方には、「パワーリハビリなどの筋トレ系はなるべく避ける。」というのはなかなか実行しにくいと思います。
その中でも、ストレッチなどの柔軟性を保つ訓練などを多めに行うなどしてみてはいかがでしょうか。
または、訓練内容の時間割合などを変えてみるのもいいかもしれませんね。
日常生活を送っているだけでも体に大きな負担がかかっている片麻痺の方にとっては、少しでも体の負担を減らすことも大事なリハビリのように感じています。
日常生活以外にパワーリハビリまでもがんばるのは・・・。
最後に体を治療家などに手入れしてもらい体の筋緊張を取り除いてもらい、「少しでも麻痺側を使える環境にしていく。」ことで本当の意味での痙性改善になっていきます。
※記事の内容は当院の片麻痺に対する考えに基づいた内容になります。 すべての事はご本人様の自己責任のもとで行ってください。
当院では一切の責任を負いませんので、ご了承ください。