片麻痺改善には必要以上の連合反応を抑制することがカギ

片麻痺の方が悩まされている症状の中に、手、足のつっぱり感、こわばり感といったものを感じている方がとても多くみうけられます。
片麻痺を改善させていく上で、
でも述べたように痙性を抑制させることは、重要な課題でもあります。
人間の体は生命活動を維持するため、あらゆる姿勢反射や反応などが働くことで正常に保たれています。
しかし、必要以上の反射や反応はかえって痙性を強めたり、動きにくくさせたりといろいろな弊害が生まれ、好ましくはありません。
その中でも、今回は連合反応について述べたいと思います。
片麻痺改善には連合反応を、いかに抑制するかがキーポイントになるからです。
連合反応とは
痙性麻痺に現れる1つの姿勢反射の機能亢進とされているもの。
痙縮筋に起こり、弛緩筋には起こらず、痙縮が強いほど強く出現します。
つまり、麻痺した側を意識的に動かせない場合でも、健康な側を動かそうとすると、その影響が麻痺側の筋収縮を引き起こす現象をいいます。
上肢では左右対称性に、下肢では内外転は対称性で、屈伸は相反性に出現します。
これらは健側の動きに対して、麻痺側の動きが鏡に映るように反対側に生じるので対側性連合反応といいます。
これに対して、麻痺側下肢あるいは上肢の意識的動きをすることで、麻痺側上肢あるいは下肢の動きが生じることがあり、これを同側性連合反応といいます。
※脳卒中のような病気がない場合は、生理的連合反応という種類のものである程度は抑えられて生命活動を維持している。
連合反応って重要なの?
健康な人たちでも生理的連合反応というもので、ある程度の動きが成り立っています。
仮にこれがすべてなくなってしまった状態では、健康な体の状態や生命活動を維持することはできません。
連合反応自体は人間にとってすごく必要なものだからです。
例えば、運動会などで行う綱引き、腕の力で綱を引っ張ろうとしますが、その時両足で地面を踏ん張り、歯をくいしばりながらやりますよね?
また、腕相撲なんかもそうです。
組み手に力を入れる際、反対の手は机を押さえて歯を食いしばりながらやっています。
そうでないと、最大限の力を発揮できないからです。
それ以外の日常生活での身近な行動の中では、ペットボトルのふたをあけるときです。
机の上にペットボトルを置いて右手だけでキャップをまわそうとしてもあかないですよね?
そうです。左手でペットボトルを押さえて、右手でキャップをまわします。
同等の力またはそれ以上の力を加えない限りキャップはあかないですよね。
このように、身近な日常生活の中でも当たり前のように働いてる機能です。
それゆえ連合反応自体は悪いものではありません。
むしろ人間が生きていくうえで必要な反応であるといえます。
どうして連合反応を抑制すると片麻痺改善に良いのか?
人間が生きていく上で、必要な反応でも脳卒中による脳のダメージなどで必要以上に連合反応が起こってしまっては、痙性を高め、痙縮を強めたり、動作のコントロールなどに悪影響を及ぼすからです。
連合反応を抑制することで、痙縮の一番の予防になると考えています。
どうしても片麻痺の方たちの生活は、健康な側を中心とした生活がメインになります。
起きている時だけでなく、寝ている時もです。
現に、寝ている時は片側だけしか横向きになれないという方がたくさんおられると思います。
健康な側を中心とした生活から、1割でも2割でも麻痺側を使えるような生活にできるようにすることで、連合反応の抑制につながります。
そのことによって、痙性を抑えて、痙縮予防、動作改善、痛み、シビレの軽減につながると考えています。
連合反応の抑制には何をしなければならないのか?
必要以上の連合反応を抑制することは、片麻痺の方にとって、痙性の抑制、痙縮予防、改善につながり、動作改善、痛み、シビレの軽減、つっぱり感やこわばり感の低下につながります。
では必要以上の連合反応を減らすために何をしなければならないか?
麻痺側の足にしっかり荷重できるようにすることです。
健康な側ばかり使うことで、麻痺側にも健康な側の動きが鏡に映るように生じてしまう、対側性連合反応が生じてしまいます。
しっかり麻痺側の足に荷重できるようにしていくことで、麻痺側に荷重した時の健康な側への対側性連合反応は、必要以上におきません。
また、麻痺側の足にしっかり荷重できるようになることで、余分な力を使わなくてすむようになるため、麻痺側に対する同側性連合反応も起きにくくなってきます。
まとめ
今回は片麻痺改善にとって必要以上の連合反応を抑制することが大事であることについて述べさせてもらいました。
連合反応を抑制するためには、
『麻痺側の足にしっかり荷重できるようにする』
を意識することが重要になります。
まずは、ご自身の麻痺した側の足にしっかり荷重できているか。を確認してみて下さい。
これができないと片麻痺の改善にはならないですよ。