片麻痺は発症から年数が経っても回復するのか?

片麻痺の方にとって、自分がどのくらいまで動けるようになるのか?
もっとスムーズに歩けるようになるのか?
もう少し手が使えるようになるのか?
社会復帰できるのか?
など、ものすごい悩みの種ですよね。
また、自分は片麻痺になってから年数の経過とともに、回復を感じれてないなんて方も多いのでは?
と思います。
今回は、『発症から数年が経過しても回復するのか?』をテーマに当院の考え方を述べてみたいと思います。
目次
現在の医学的見地からみた回復について
片麻痺の機能回復を語る上で、下図は必ずでてくる重要キーワード片麻痺回復曲線なるもの。
図ー2
ご存じの方も多いと思いますが、その中でも「6か月の壁」という言葉があります。
これは麻痺の回復が6ヶ月を過ぎる頃から、横ばい状態(プラトー状態)になることを示す言葉です。
図-1、2が示すように、回復期にあたる期間は片麻痺の機能回復が見込める時期で、リハビリの効果や成果が実感しやすいです。
しかし、6ヶ月経過後からは一生懸命リハビリに取り組んだにもかかわらず、体に大きな変化が現れにくくなってきます。
ここで医師から、
「もうこれ以上の回復は難しいのかもしれないので、いまある機能を低下させないように維持していって下さい。」
と死刑宣告ともとれる残酷な通告を受けます。
良くなりたいと回復を望んでいる希望の目を摘む宣告を告げられてしまいます。
事実、リハビリ現場などではほとんどの方に、このような時期が訪れることが確認されております。
これ以上の機能回復が見込めず、あとは悪化させないように現状維持に努める期間を6ヶ月以降の維持期といいます。
悪くさせないように維持するのもなかなか大変なものがありますよね。
図―2のように維持期にどのようなリハビリをするかによっても、身体の機能が低下しやすいということも言えるでしょう。
これが現時点での医学的見地からみた回復の構図になります。
何故、数年が経つと片麻痺が回復しない本当の理由
現在の医学では、6ヶ月以降の麻痺の機能回復が横ばい状態で難しいと言われています。
当院はそうではないと考えています。
独自の考え方から導き出した片麻痺が回復しない理由とは、
- 維持期(6ヶ月)以降のリハビリは悪くさせないように行う目的のリハビリ施設が多い(=麻痺をのがれた残存機能での回復がメインになっている)。
- 適切なリハビリが行われていない。
- 片麻痺の発症から年数が経つことで、体を酷使した結果、全身の筋緊張が高まり、麻痺の回復を妨げている。
ということが主な理由だと考えています。
維持期(6ヶ月)以降のリハビリは悪くさせないように行う目的のリハビリ施設が多い
維持期という言われからもわかるとおり、片麻痺の機能回復が臨床データ上、横ばいで変化が少なくなります。
そこで、今ある機能を低下させないように残された機能をいかに向上させて、少しでも麻痺側をおぎない、日常生活を楽にしてあげれるかになっています。
そのため、片麻痺の機能回復に積極的に取り組んだリハビリがなされているようには思えません。
特にデイサービス、デイケアでは、年配者の廃用症候群の改善を目的としたリハビリから、片麻痺やケガ、病気からの機能回復のためのリハビリも、すべて一色単なパワーリハビリがメインで行われている施設や治療院が多いように感じます。
これでは発症から数年が経てば経つほど、片麻痺の機能回復とはほど遠いものになってしまうと考えています。
適切なリハビリが行われていない
前記したように、すべての方にパワーリハビリを中心に行うというのはいかがなものかと・・・。
片麻痺の方には麻痺の機能回復にそった考え方で、リハビリや施術などをすることが維持期以降の片麻痺の方にとってものすごく大事な時間になってくると考えています。
当院が考える適切なリハビリとは、
麻痺した側にしっかりと足底で荷重できるような体づくりが片麻痺の回復にはとても重要だと考えています。
片麻痺の発症から数年が経つことで、体を酷使した結果、全身の筋緊張が高まり麻痺の回復を妨げている
片麻痺の発症から数年が経っても、日常生活動作や、リハビリ訓練、歩けなくならないよう日々のウオーキング、筋力トレーニングなど一生懸命がんばられていると思います。
でもよく考えてみて下さい。
片麻痺の方はすべての動作はほとんどが健康な側だよりの生活になっています。
私ら健常な人たちでも、片方の足を地面につけないようにして、片側だけでケンケンの生活をした時、1、2日だけでも体が悲鳴をあげてしまうと思います。
いや、たかが1時間程度でも体には大きな負担がかかって大変だと感じるはずです。
片麻痺生活が長くなればなるほど、健常者でいう片足ケンケンでの生活が長期間続いていることになります。
当然、体は酷使していると思ってなくても、筋肉は疲弊し麻痺した体を動かそうとしても、筋緊張が強く出現し、つっぱりを感じたりと動かしにくい体になってしまいます。
そのことで、片麻痺の方特有のウェルニッケ姿勢やぶん廻し歩行を増長させてしまい、ますます片麻痺の機能回復にはほど遠くなってしまっていることが回復の妨げだといえます。
年数が経っても片麻痺を回復させる3つのポイントとは?
片麻痺を発症して、年数が経った方でも当然、今より良くなりたいと誰もがが思っているはずです。
では、どのようにしたら年数が経った方でも片麻痺の機能回復につながるかを考えた時の3つのポイントとして
- リハビリに対する考え方を変える
- 適切なリハビリを行う
- 必要以外の運動や行動を極力しない
上記のことに留意しながら、リハビリを進めていくことが年数が経過した片麻痺の方の機能回復には特に重要だと考えています。
それでは詳しく内容を説明していきたいと思います。
リハビリに対する考え方を変える
今までのリハビリでは変化がなかった、なくなったと感じていたら、まずはご自身の今のリハビリに対する考え方や、やり方を見直す必要があると思います。
今まで行っていたリハビリからまったく別のリハビリや施術に変更するときはそれなりに勇気や決断がいることと思います。
でも今まで続けてきたリハビリに効果を感じられない時は、おもいきった変更をするということも、片麻痺を良くしていくうえで大事な判断だと思います。
適切なリハビリを行う
適切なリハビリとは何か?
麻痺した側にしっかりと足底で荷重できるような体づくりが片麻痺の機能回復にはとても重要だと考えています。
残存機能を維持、低下させないようにするリハビリではなく、まずは麻痺側の足にしっかり荷重ができるようにつくっていきます。
片麻痺の方のほとんどが麻痺した足底をちゃんと着地して歩くことができていません。
麻痺側の足がしっかり着けないと痙性も高まり、筋緊張も起こりやすくなってしまいます。
まずは麻痺側の足底でしっかり荷重できるようにしていくことが片麻痺機能回復の本当の第一歩になるリハビリであると考えています。
必要以上の運動や行動を極力しない。
片麻痺の方は24時間ずっと麻痺した体をかばいながら生活しています。
いったいいつがゆっくり体をやすめられるだろうか・・・。
ゆっくりイスにもたれかかっている時?
食べている時?
それとも寝ている時?
寝ている時が1日の中で1番体を休められることと思います。
ただし、ちょっとした動きでも反射などにより痙性が高まり筋肉が反応し、案外しっかりと休めていると言える方は少ないかもしれません。
普段起きて生活している時間に、いかに体に負担をかけないようにするかが、痙性を抑制し就寝時の筋緊張の緩和に
もつながります。
しいては片麻痺の機能回復にもなります。
まずは必要以上に体を動かすことを避け、片麻痺の機能回復がすすみやすい体づくりをしていくことが大事になります。
まとめ
結論として、発症から年数が経っても片麻痺の機能回復はします。
- リハビリに対する考え方を変える
- 適切なリハビリを行う
- 必要以上の運動や行動を極力しない
以上のことは、片麻痺を発症してから年数が経った方の麻痺の機能回復には大事なことだと当院は考えています。
当院には、発症から9年経った片麻痺の方でも変化が現れているのも事実です。
この方は、当院の施術をうけてもらいながら、今までのパワーリハビリの考え方を捨て、仕事以外の行動や運動など極力さけてもらい、片麻痺の機能回復への道のりを当院とともに歩み出したところです。
ご参考までにして下さい。
※すべての方の片麻痺機能回復を保証するものではありません。 また当院が考える回復のための独自の観点からの考え方になっています。
それ故に、何を行うにも自己責任のもと行って下さい。
当院では一切の責任はおいかねますのでご了承下さい。
記事の内容にご批判などあることと思いますが、こんな考え方もあるんだと思って、読んでいただければ幸いです。