片麻痺の方にとってパワーリハビリは必要か?

片麻痺の方のリハビリ訓練の代表的なものの中にパワーリハビリという訓練法があります。
記事をお読みの方の中には、デイサービスやデイケアなどで片麻痺の機能回復のために一生懸命リハビリ器具を使ったりしながら、麻痺した筋肉に刺激を加えて回復を試みたり、衰えた筋肉の強化または麻痺した側を補うために健側の筋力強化をしたりと励まれている方もいらっしゃると思います。
しかし、がんばってはいるものの目立った変化も少なく、いま行っているパワーリハビリ訓練は自分にとって本当に必要なのか?正しい事なのか?これでいいのか?
と疑問を持たれている方も多いのでは・・・。
今回は、そんなことを思っている方に対して当院の考えを述べていきたいと思います。
結論から言うと、
必要でもあるし、必要でもない
ということです。
一般的なパワーリハビリの概念
片麻痺のリハビリ訓練法の代表的な1つとしてパワーリハビリ訓練と言うものが存在します。
ではその「パワーリハビリ訓練とは?」とインターネットなどで調べてみると、色々な解釈の仕方があるように思えますが、一般的な概念として
- リハビリマシンを用いて軽負荷でトレーニングを行い、全身各部の使っていない筋肉を目覚めさせることが主な目的である。
- 老化や病気などによって低下した運動機能、心理活動を改善に導くためのプログラム。
- 筋肉増強リハビリとは違い、高齢者で廃用症候群の方から、膝痛、腰痛といった整形疾患、脳卒中などによる麻痺の方を対象とし、幅広く対応したリハビリになっているなどと記載されていることが多いようです。
というように記されていました。
パワーリハビリ訓練が必要な時とは?
先の結論でパワーリハビリ訓練は必要でもあるし、必要ないと述べました。
ここでは、パワーリハビリ訓練が必要な場合についてをお話しします。
まずは、
「ご自分が今後どのようになっていきたいか・・・。」
ここの考え方がものすごく重要になっていきます。
ここの考え方次第では、パワーリハビリは必要ない、しない方がよいという選択になってくるからです。
自分は病院のドクターに言われたように、麻痺側の回復ではなく残存機能を高めることで生活を良くしていく。
または、今現在ある機能を低下させないようにしながら生活していく。
要するに、麻痺した機能の回復ということではなく動かせる筋肉などの残存機能という点にリハビリの重点を置いた方には、器具を使用したり、筋力を高めたりするパワーリハビリ系の訓練が選択の1つとして必要になってきます。
パワーリハビリ訓練が必要でない時とは?
「自分が今後どのようになりたい。」
または、どのように考えているかによって大きく変わることは先ほどお伝えしました。
パワーリハビリ訓練が必要でない場合とは、
麻痺した機能を取り戻したいとお考えの方にはパワーリハビリは得策ではないと考えています。
それは、パワーリハビリをすることで反射や連合反応などの作用から痙性が高まったり、ウェルニッケ肢位を増長させたりしてしまうので、避けてもらいたい訓練法の一つです。
でも当院のクライアント様の中にもおりますが、回復期にバリバリにパワーリハビリ的な感じで訓練してきた方がいますが、麻痺の後遺症も少なくそれほど大きな弊害を生まなかった方もいます。
逆に、同じようにパワーリハビリ系の訓練を行ったのに麻痺の後遺症が強く残ってしまった方もいます。
これは、脳の障害された部位や程度、範囲、リハビリ訓練のやり方などによってその方の回復する度合いが違っているのではと考えています。
特に維持期においてのパワーリハビリ系の訓練を行い続けることは、筋緊張が上がり痙性を作ってしまい麻痺した機能の回復を阻害しているように感じてなりません。
当院が考える麻痺した組織を再生させるのにパワーリハビリ訓練は必要なのかと言えば、
基本的には必要ないと考えています。
ただし、当事者様やご家族様の考え方やリハビリ方針や状況、経済面などにより必要な事も大いにあると思います。
まとめ
デイサービスやデイケアなどでは、パワーリハビリによる訓練がメインになっている所も多いと思います。
片麻痺のリハビリ訓練法としてパワーリハビリは必要なのか?
ということの結論は、
前書きの所でも述べたように必要でもあるし、必要でもない、要するにどちらともありだと考えています。
リハビリを受けられる方やご家族様が、今後どのような機能回復を進めていきたいかで大きくリハビリ訓練の考え方が変わると思っています。
それゆえどちらの考えも間違いではないと思っています。
特に麻痺した機能の回復という観点から見た時、介護保険などを利用して行っているパワーリハビリ訓練は麻痺の回復にはつながりにくいと思っています。
何故かというと、介護保険制度の問題から制限・制約が多くつきまとうという理由があるためです。
一方、制限・制約がなく常に最新のリハビリや施術法などを取り入れたりしている保険外(自費)による施術は、麻痺の機能回復にはベターではないかと考えています。