片麻痺による分廻し歩行を続ける事での3つのリスクとは?

デイサービスやデイケア、治療院などで、スタッフや理学療法士や作業療法士、まわりの知人などからよく「歩くスピードが速くなったね」、「歩ける距離がすごく伸びたね」など言われて喜ばれたことがありませんか?
でも中には、良くなったとは言われるけど、ほんとにそうなのかなぁ~・・・。
自分的には変わったような気はしないなぁ~⤵⤵
な~んて、思ったりしている方もいたりして・・・。
たしかに、歩くスピードが速くなったり、歩く距離が伸びたりすることはすごく喜ばしい事だと思います。
実際に歩行容姿を良く見てみると、分廻して歩いている姿勢は変わらず、足を出す回転力が上がったことにより動作が早くなっていることに気がつきましたか?
結局のところ、パワーリハビリなどの訓練により、健康な側や麻痺を免れた筋肉が強化され、歩けるスピードや距離が伸びて良くなったように見えるのです。
歩行スピードや歩行距離の改善を機能回復の基準にすることも大切だと思います。
何故ならば、ご家族を含め周りの人からみれば、速さや距離は変化の基準になるからです。
しかし、分廻し歩行や歩き方などでお悩みの方にとって本当の機能回復とは、いかに正常な歩行や動きを取り戻せることができるのかだと考えています。
分廻し歩行であっても、早く歩けたり、距離も長く歩けるようになったから良いではないか、と言いたい方も多くおられると思います。
なぜ、分廻し歩行であることが良い事ではないのかを今回は、当院の考えで述べたいと思います。
分廻し歩行では何故いけないのか?
分廻し歩行をしているということは、
正しい歩き方をするのに必要な筋肉が麻痺して働いていないということです。
要するに、分廻し歩行は通常の歩行なら使わない体幹の筋肉(特に体の側面の筋肉)をめいいっぱい使って足を外に廻しながら歩いているという事です。
そのことから推測できる分廻し歩行を続ける事でのリスクとして大きく3つが考えられると思っています。
そのため分廻し歩行で生活を続けることは、後々の体にとって良くないと思っています。
分廻し歩行を続けることで考えられる3つのリスクとは?
1、麻痺した組織の回復は望めなくなる
2、3年、5年、10年後の人体への悪影響の増大
3、再発リスクの増加
上記のことが考えられると当院は思っています。
麻痺した組織の回復は望めなくなる
分廻し歩行を続けるという事は、正常な歩行を諦めるということにつながります。
正常歩行をすることは麻痺した足にも荷重をかけないといけないということになります。
分廻し歩行では正確な足底荷重ができないことを意味します。
麻痺した足に荷重できるようになることは、足底からの感覚情報が脳に伝わり、脳から体に命令や指示を初めて出せるものです。
正しい歩行を取り戻すことは、麻痺した側の足にしっかり荷重できるようになれることを意味し、それは麻痺した足から脳へ情報が伝わり、障害された側の脳の活性化にもつながり麻痺の回復につながると考えています。
3年、5年、10年後の人体への悪影響の増大
分廻し歩行を続けるという事は、正常な歩行を諦めるということにつながりますと先ほどいいました。
ということは、麻痺した側を正しく使わなくなるという事になります。
パワーリハビリをすることで、一時的には残存機能の向上により分廻し歩行でも、歩行スピードがあがったり、歩行距離が伸びたりと良くなったというように見えると思います。
普通に日常生活動作をするだけでも片麻痺の方にとって、人体には大きな負担がかかっています。
それなのにパワーリハビリ訓練や歩行訓練をしたりと良かれと思ってリハビリを頑張っていたのに、かえって体を酷使していたことになり、麻痺から免れた動かせる筋肉でさえも疲弊させてしまいます。
それがやがて3年後、5年後、10年後には、より痙性を高め、筋緊張をつくり、つっぱり感や、血流障害からくる、シビレ、痛みなど、症状を増大させてしまうことになります。
当院でも、寝てても体のつっぱり感を感じていて、ゆっくり休んだ気がせず、体が辛かったといっていたクライアントさんもいました。
※今では、だいぶ体が楽になってきたと喜ばれています。
分廻し歩行でも歩行スピードや歩行距離が改善したことは、短期的にみれば歩けるようになったことで回復した喜びを感じれると思います。
ただ長期的に、分廻し歩行が続いている方で、当院にいらっしゃるクライアント様をみてても、つっぱり感や痛みを訴える方がとても多いように感じます。
分廻し歩行での生活は、3年後、5年後、10年後の体への影響はすごく大きいと言えると思います。
再発リスクの増加
分廻し歩行になってしまうのは、麻痺側の足底で荷重しにくいためこの歩行になっています。
そのため、足底からの脳への情報が伝わりにくい状態にあります。
情報が脳に伝わらないことは、障害脳への血流も滞りやすく脳の活性化はおろか、脳梗塞や脳出血などの再発リスクを高めることにもなってしまいます。
健康な側に頼った分廻し歩行でいることは、再発リスクという意味でもいい事ではないということがおわかりいただけたと思います。
まとめ
いかがでしたか?
分廻し歩行の状態で、歩くスピードが速くなった、歩ける距離が伸びたから良くなった、回復したという考えは少し短絡的ではないかということが少しわかっていただけたでしょうか?
正常歩行に少しでも近づけることが、3つのリスクの回避になることがおわかりいただけたと思います。
まずは早く歩けるようになった。歩く距離が伸びたではなく、正常な歩行に近づけれるように意識し、考えることが、本当の意味での機能回復につながりますよ。
~注意~
すべての判断や行動は自己責任のもと行って下さい。
当院では一切責任は負いかねますのでご了承ください。